日常


見上げた空、一面の銀世界と煌々とした月。

「すっげぇ・・・・・」

目を真ん丸にして口をぽかんと開けている悟空が見ているものは「月」

サルでも感動する事があるのかと思いつつ同じ月を見つめる三蔵。

「すっげぇ・・・・・美味そう」

(ずるっ;;)

そうだよな・・・こいつが月見て感動するわけねぇよな・・・・。

美味しそうという悟空のセリフについていた肘と頬が滑る。

「あっ!三蔵!!あれ光ってる」

「・・・・・は?」

何を見てんだこのサルは?と重い腰を上げ指が示す方向に目をやる

「あぁ・・・ホタルか」

「ホタル・・・・?」

宙を飛び交う小さな輝きを珍しそうに目で追いかけ、あれホタルって言うんだ・・・と嬉しそうな笑みを浮かべる。

「何だ?ホタルも見たことないのか?」

500年以上生きてる癖にと付け足すと微かな苦笑を混ぜ、空と月なら見た事あるんだけどなと悟空は咳く。


――――― 500年。

何度も同じ空ばかり見つめてた

飽きる程に・・・。

毎日が同じ今日

昨日が無くて、今日しかなくて

目に映るのは見えない光と金色の太陽

そして不定期に色を変える空の色と無数の灯

孤独の名に相応しい空間の中で憧れていた

外の世界

いつしか金色の太陽は真っ暗な空間の中で

暖かいと感じる無二の物となっていた

しかし孤独が癒える事は一時的なものでしか無かった

暖かいと思えば思うほど

失われた記憶の名残が心を・・・・・


「・・・ぅ・・・・・くう・・・・・・・悟空っ!!!」

「あ。なに・・・・・・ってぇ!!」

三蔵の声とスパーンと響くハリセンの音と痛みに悟空は現実 にひき(叩かれ?)戻された

「何すんだよ!!」

手加減はしたものの、いつもより痛かったらしく悟空は涙ぐ睨みつけてくる

が、三蔵はそんなこと御構い無し。

「うるせぇんだよ」

俺は此処にいるんだから・・・こんな近くで呼ぶな、と言うと呼んでないと言い張る悟空にまだ気がつかないのかと溜息を吐く

「寝る。邪魔したら殺す」

そう言うと三蔵はベッドに身を委ねた


暖かいと思えば思うほど

失われた記憶の名残が心を締め付ける

脳は虚ろに覚えている程度

記憶と言うべきかも解らないくらいに

だが身体は覚えている

虚ろな虚空の中のあの人の腕の温かさと愛しさを

何故忘れてしまったのだろう

大切で大切で守りたかったはずなのに


窓から入り込む風はひんやりとしていてまだ肌寒い

しかしそんな事は気にも留めず、悟空は大きな瞳でじっと外を見つめている

500年の歳月と三蔵と出会ってからの事を考えながら・・・・・。

「おい、悟空」

既に寝ていると思っていた三蔵が声をかけてきた。驚きつつも悟空は何だ?と振り返る

「寒い。窓閉めてさっさと寝ろ」

横になっていてこちらを見ない三蔵だったが声は誰に聞かずとも不機嫌。

仕方無しに窓を閉めると風が室内に入ってきた

(今まで気が付かなかったけど・・・・風冷たい・・・部屋も)

窓を開けていたのは小1時間とは言え当然といえば当然である。

(さんぞ・・・今まで寒いの我慢してくれてたのかな・・・・・でも三蔵がそんなことする訳無いような気もするし)

こんなことを考えながら横になっている三蔵のベッドに潜り込み、じっと顔を見つめ、ぎゅっと抱きついき軽くキスをした

「テ・・・テメェ、勝手に入ってきて何やってんだ!お前のベッドはあっちだろ。寝る前からボ ケてんじゃねぇよ。それに俺は食い物じゃねぇんだぞ#」

微かに赤面しつつ怒鳴っているが抱きついているせいかハリセンは飛んでこない

「だって三蔵冷たいじゃんか。俺のせいだろ?それに悟浄が寒い時にはこうするんだ って言ってた!」

素直というか単純というか・・・悟浄の言葉を真に受けてしまった悟空。

被害者(?)は当然の如く三蔵である。

コロス

三蔵の頭の中にはその3文字と悟浄の顔が浮かんでいた。

「他に何か言ってたか?」

「ううん、何も。なんか・・・もっと大人じゃなくなったら良い事教えてやるとかは言ってたけど」

悟浄の奴。絶対俺の事ガキ扱いしてるよな、とぶつぶつ愚痴る悟空。まだ三蔵に抱きついたまま。

「ガキじゃねぇなら自・・・・・・んっ・・・」

ガキじゃねぇなら自分のベッドで寝ろ。そう言うつもりだったがその言葉は悟空の口唇に剥奪(?)された。

慣れていない故、ぎこちなさはあるももの優しくてやわらかな口付けだった。

甘い甘い、無邪気なキス

部屋の冷たさに反して触れた部分と抱き付かれている身体は温かかった

「・・・・おやすみっ。」

口唇を離すと極上の笑顔でにぱっと笑い悟空はそのまま夢の中へ。

「ったく・・・・・」

そんな顔されたら引き離す事できねぇだろ。

そう思いながら三蔵も眠りについた。ベッドから落ちないよう悟空を抱きこむように

その顔には微かな笑みがこぼれていた。

20010727



◆ おまけ ◆

次の日、悟浄は必死になって三蔵の弾を避けていました。

「殺す!!」

「すいませ〜ん。お茶のおかわり頂けますか?」

「あ。俺もコレおかわり〜♪」

「てめぇ!この生臭坊主!!!飯の途中に発砲すんな!!!!」

それはとても賑やかないつもの日常。


                            ・・・・・終わりv




肴攻龍様よりコメント♪

93本を貰ったお礼にカキカキと書いてみました。
実は小説自体、これが初書きだったりします(待て)故に文章かなり変。御免なさい(T−T)
かなりの恥。見なかった事にして下さい(死)


佐喜よりお返事♪

これが初めて書いた小説ーー!!!美麗過ぎます!肴様っ!!
実はワタクシも、ちょうど蛍の話を書こうと思った時にこれを頂き、すっかりやる気失せましたv(死)
だってこんな素敵な小説貰っちゃったらさ〜。
ちなみに、御本人のサイトでは、もっと素敵可愛いレイアウトでこの小説は飾られております!!
うちのデザインは白基調の為、どうしてもこんなヘボいデザインになってしまうのですが・・・。
是非是非、リンク部屋から肴様のHPに行って見て下さい〜♪
あんなチョロいコピー本がこんな素敵な小説に化けるなんて・・vvv
肴様、有り難う御座いました!!

SEO [PR] 爆速!無料ブログ 無料ホームページ開設 無料ライブ放送