プレゼント



 小高い丘に、膝を抱えて座り込んでいる。
 眺めのいい景色は、そろそろオレンジ色に染まってくる時間だった。
 何故、こんな所に一人でいなきゃいけないんだろう。
 少し赤くなった目をこすり、悟空は夕日を眺めていた。

「三蔵!プレゼントは!?」
「は?何言ってんだ、おまえ?」
 今日は悟空の誕生日だった。
 三蔵が決めてくれた大切な日。
 誕生日にはプレゼントというものを貰えるのだと、時々遊んだ村の子供達が言っていて、悟空は執務中の三蔵に初めての誕生日をせがんだ。
「さんぞー・・・忘れちゃったの・・・?」
「ああ?だから何が」
「さんぞーのアホ!」
「ちょっ・誰がアホだ!!待て、悟空ー!!」
 制止する三蔵の声を聞かずに、窓を蹴破って飛び出していた。

 自分は何故、三蔵にあんな事を言って飛び出して来てしまったのだろう?
 暫くすると、冷静に考える事が出来るようになっていた。
 とても、ショックを受けたのだ。三蔵の言葉に。
 何がそんなにショックだったんだろうか。
 プレゼントを貰えなかった事?
 じゃあ、自分は何が欲しかったんだろう。
 三蔵に貰えるものなら、それこそ何でも悟空は嬉しかった。
 三蔵が捨てようとした使い古しの筆や、色が気にくわないと言って捨てようとしていたサイズの合わないシャツでも、三蔵から貰うものなら何でも大切な宝物で。
 一見ゴミにしか見えないものまで何でもかんでも取って置いていた。
 だから、忙しくて何もくれるものが無くても、言葉だけで良かったのだ。
 ただ一言。三蔵の口から「おめでとう」と言って欲しかった。
「・・・・なあんだ・・・そんな事だったんだ・・・」
 三蔵が、誕生日を忘れていた事が、ショックだったのだ。
 悟空にとって自分の誕生日は、それだけじゃなくて三蔵と出会った大切な記念日でもあるから。
 三蔵は忘れてしまったのだろうか?自分と出会った記念日を。
 いや、きっと三蔵は忙しくて。ちょっと余裕が無かっただけなのだ。
 冷静に考えれば、どう考えても自分の態度が悪かったのだと分かる。
「あやまってこよっと」
 すっくと立ち上がり振り向くと、夕日に照らされてより一層輝きを増した金髪が、すぐ近くに立っていた。
「さんぞー・・・?」
「てめえが何時までも帰って来ねえから、来ちまったじゃねえか」
 その手には、大きな紙袋を抱えていた。
「ごめん、三蔵・・・」
「ほれ」
 持っていた大きな紙袋を手渡される。
 中を空けると、そこにはたくさんの肉まんが入っていた。
「誕生日だろ?てめえの欲しいものなんて、他に思い付かなかったしな」
 まだほかほかと暖かい。その暖かさは、そのまま三蔵の暖かさだった。
「へへ・・・ありがと・・・さんぞー・・・・」
「暖かいうちに食べちまえ」
「うん!」
 さっきまで、一人で座っていた所にまた座る。今度は隣に三蔵の姿があった。
「三蔵も食べる?」
「一つならな」
 仲良く並んで食べる。
「あ、そうか」
「ん、どうした?」
「三蔵がいるから、意味があるんだなーって」
「何が」
「えへへ。ないしょ♪」
「・・・・・・・ふん」
 自分の誕生日は、三蔵と出会った大切な記念日。
 だから、三蔵がいなければ誕生日などあっても意味が無い。
 三蔵と一緒にいられれば、それが最高のプレゼントなのだ。
「三蔵。ずっと一緒にいような」
「どうせ駄目だっつってもついてくるんだろ・・・」
「うん♪」
 来年も、再来年も、その又ずっと先の年も。
 大切な二人の記念日を。
 一緒に、誕生日を迎えよう。
  


END.



わーい♪間に合いました♪すげ・・・一時間で書いてますよ、これ。私ってば遅筆なのに。
猿の誕生日小説いかがだったでしょう。時間無くて短くなったけど、これ位も読みやすくて結構好きだったり。ま、ご想像通り、猿へのプレゼントは三蔵です。これ以外に無いでしょう。
相変わらずうちの三蔵ってば猿に甘過ぎ!!甘やかし過ぎは教育に良くない・・・ってそんな事言ってたら私は小説書けないので、勘弁して下さい。

小猿ちゃん、お誕生日おめでとう♪





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