RHYTHM



「んっあっあっ、ご、くっ、んっやめっ!」
 一定リズムの抽挿が続いている。ただひたすら、自分を労るように。
 何かが違った。いつもならもう意識を手放している頃なのに。
 優しすぎる抽挿は、意識を手放すには中途半端すぎて。
「三蔵、気持ちいい?」
「ばっ、聞く、なっ、んっんあっ!」
 腹の上を行ったり来たりする身体。押し退けてやりたいような気持ちに駆られたが、どうせ何れは朦朧としてくるだろうと諦めた。
 未だ飛ばしきれない意識に三蔵の気持ちは焦りを浮かべる。
 悟空を急かす為に首筋に顔を埋めた。自分から悟空を求めるような行為は死んでもやりたくなかったが、こんな生殺しの状態にも吐き気がした。
「三蔵?」
「はやく・・しやがれっ・・!」
 耳元で、熱い声を吐き出す。
 リズムが崩れた。
 一瞬ギリギリまで引かれたかと思うと、次には最奥まで押し寄せる。
 がたがたと膝が震える程揺さぶられ、ようやく待ち望んでいた、理性に過ぎる快楽を手に入れた。


「てめえ・・どうしたんだ、突然」
 再び意識が上昇してきた所で訪ねる。
 イッたばかりで余韻の残る身体は息が乱れて一度に喋る事が出来ない。声を捻り出そうと腹に力を入れれば、結果未だ中に入ったままの悟空を締め付けた。
「えっ・・何が・・?」
 締め付けに反応したのか、もぞりと身体を動かそうとする。
「いてっ!」
 取りあえず頭を拳骨で殴ってやった。
「しつこいんだよ・・・・・・抱き方が・・・」
 小さな声で答える。そんな事を口に出すのが恥ずかしいのか、目線を反らしてほんの少し頬を赤らめている。
 その姿があんまり愛おしくて、無意識に三蔵の中に納められたままの悟空自身が大きくなってしまった。
 自分の下にいる三蔵が、あからさまに嫌な顔をしたが、もう一度殴られる事はなかった。
「しつこいって・・俺、三蔵の為に頑張ったんだよ?」
 悟空が、拗ねるような、甘えるような、大きな瞳で三蔵を見つめる。三蔵は思わずたじろいだ。
 どうも自分はこの目に弱いのだ。この金色の目で、捨てられた子犬のように泣かれた日には、まるで自分が悪い事でもしたような気になってくる。
 実際には、悟空が無意識にこの目をする時は、大概悟空の方が悪いのだが。
「俺、我慢出来なくていつも三蔵に無理させちゃうだろ・・・?最初の頃はどうにも出来なくて、自制も効かなかったけど・・・三蔵に優しくしてあげたかったから、頑張ったんだ・・・三蔵が煽るから結局無理だったけど・・いてっ!」
 スパン!と何処から取り出したのか、ハリセンのいい音が鳴る。どうやら先程自分の拳で下したのは痛かったらしい。
「なんだよー、いいじゃん!本当によかったんだからさあ!」
「やかましい!!」
スパスパン!とリズムよく、二往復させた。
「うー・・・」
 頭を抱えながら三蔵の腹の上になだれ込む。そのまま上目使いでにやっと笑って言った。
「でも、三蔵も気持ちよかっただろ?」
 目を合わせると更に真っ赤になっていく三蔵が可愛い。
 ふっと目を反らそうとしたがそれを止めて、悟空の後頭部の髪の毛をわし掴んで引き寄せると、三蔵は強引にキスをした。
 突然の行動にびっくりして、悟空は大きな目をさらに大きくして三蔵を見つめる。
 三蔵からキスをして貰えるなんて、それこそ滅多に無い事だったから。
 あまりの驚きに、せっかくの三蔵からのキスに集中する事すら忘れてしまっている。
 そんな悟空に満足したのか、三蔵はゆっくり唇を放した。
「ガキがくだらねえ事に気ぃ使ってんじゃねえよ」
 口の端を上げて、少し呆れたような表情で、三蔵が笑った。
 ぞくり、と悟空の背中が総毛立つ。再び三蔵の中の自身が大きくなり、今度こそ歯止めが利かなくなった。
 自分の中で育っていく固まりが、焼けるように熱を帯びる。腹の中を我が物顔で掻き回すその感覚に、何故か安心した。
 三蔵は、悟空しか知らない。
 悟空は三蔵の身体を気遣ったつもりだったのだろうが、そんな抱き方の悟空は知らなかった。
 生まれて初めて身体を開いた相手が悟空だった。元々潔癖症な気が三蔵にはあったから、それだけでも信じられない事だったので、当然それからも悟空以外に身体を預けるなんて冗談でも考えられなかった。
 初めて抱かれた時は確かに辛かったが、回数を重ねる事によく分からなかった感触も、溺れるような快感へと変わっていった。
 すべて、悟空によって変えられていったのだ。
 世間的にはあれが優しい抱き方なのかもしれない。ヤった次の日は必ず腰を押さえる三蔵を見て、悟浄辺りが入らぬ知恵を与えたに違いない。
 しかし、たとえ世間がどうあれ、それは三蔵の知る抱き方では無いのだ。
 三蔵の知っている手、身体、匂い、リズム。時々変わった事をする時もあるけれど、それだってゆっくりと、三蔵の身体に合わせて、悟空のリズムで変えられていくのだ。
 だから、自分を押し殺したような抱き方をする悟空は、違った。それは三蔵の安心できる悟空では無かったのだ。
 そりゃあ、いつまでもがむしゃらな抱き方をすればいいと言う訳ではない。何れはこんな抱かれ方もよくなっていくのだろう。
 でも、それが今である必要は無い。悟空に初めて抱かれた時から、まだ幾分も経っていない。まだ数える程しか、夜を過ごしていないのだ。
 もっともっと、呆れ果てる位お互いを貪り尽くして、今の抱き方に馴れきった頃でも十分なのだ。
 繋がったままで動き始めると、最奥に放った悟空のものが、グチュグチュと淫猥な音を立てる。
 一度達したばかりの身体は敏感で、力無く震える腕をなんとか伸ばして背中に回す。
 全身は汗だくになり、繋がっている部分にはベタベタした感触がするけれど、そんな事は気にならなくなる位、獣のように貪り合った。
 馬鹿の一つ覚えのように、必死になって自分を求めてくる小さな身体を精一杯受け止める。技巧も何も無い本能だけのリズムに、目眩がするほど快感を感じて。
 腹を力任せに打ち付ける波に、ただひたすら溺れた。


END.



・・・・・何年ぶりにやおい書いたかな・・・(記憶探り中)・・・・・・5・・6年ぶり?もっと獣っぽくしたかったのに・・・なんか何時の間にやら目も当てられない程のいちゃつきっぷりで。仕方ないか、93だもんね(何故)。と言うか、私がハッピーラブラブものしか書けないから・・・。6・7年前にやってたジャンルの時はあんなに鬼畜なやおいばっか書いてたのにね。なんか憑き物が落ちたみたいにエロる気力が無い。久々に精力的なジャンルだし(は?)これから精進しよう。
しかし、本当にヤってるだけ・・・。しかもなんて色気の無え・・・。ま、裏だし・・・。



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