アナタしかミエナイ    オチ。



「八戒、御飯ー!!」
 隣の部屋の、元は自分に割り当てられていた部屋を訪ねる。
「おや?三蔵はどうしました?」
 聞かなくても分かるが一応聞いてみる。
「あ・はは・・・まだ疲れて寝てるー・・・」
 あれからも、休む事無く散々ヤったのだから当然だ。
「じゃあ、三蔵が起きる前に食べちゃいましょう。三蔵にはまた部屋まで持っていってあげて下さいね?」
「うん!ちゃんと最後まで三蔵の世話しなきゃダメだもんな!!」
 お風呂にも入れてあげたよ!と元気よく答える。
 三蔵のプレゼントの約束を八戒に相談したとき、協力する代わりに三蔵の身体を労ってやるようにと、強く言い聞かされていたのだ。もちろん、言われなくてもそうしたが。
「はい、どうぞ」
 八戒が何かを放り投げて来た。小さな何かをキャッチしてみると、それは鍵だった。
「もう外しても大丈夫でしょう?」
 ゆっくり眠らせてあげたいですから、と八戒が微笑む。確かに、後ろに手が回ったままでは辛い事この上無い。
「サンキュ、八戒♪」
 きっともう外しても、今夜は抵抗されないだろう。手錠なんか付けなくても、夕食は自分の手から食べてくれる。
 最高の誕生日プレゼントを貰って、自分はきっと世界で一番幸せ者だと、見る者を幸せにさせる笑顔で笑った。
「じゃあ、僕らは先に食堂に行ってますから。悟空はそれ外してあげたら降りてきて下さい」
「あれ・・・?そう言えば悟浄は?」
「風呂場にいます。さ、早く外してきてあげて下さい」
「うん。メシの用意お願いね!」
 とたとた部屋を出ていく。
 三蔵を気使ってか、隣の部屋の扉の音が小さく聞こえた。
 八戒は備え付けのシャワールームの扉を開けた。
「・・・八戒ぃ・・・外してくれよ、これ・・・・」
 両手に手錠を掛けられて、その手は抜けられないように、ボイラーの柱と交差させられていた。
「おや?三蔵の声に欲情して、僕を襲おうとした人は何処の誰だったんでしょう?・・・ねえ、悟浄?」
「もうしませんから・・・お願い♪八戒さま〜〜」
 別に八戒とて、恋人に襲われたからと言って怒っている訳ではない。
 八戒が怒っているのは、「三蔵の声で欲情して・・」の辺りだ。
「そうですねぇ・・・外してあげてもいいですが、条件があります」
 どき!と悟浄の心臓が鳴る。こういう時に持ち出してくる条件とやらは、大概とんでもない内容なのだ。
「な・・・なんでしょう・・・?」
「大した事じゃ無いですよ。向こう一ヶ月は宿に泊まっても三蔵と同じ部屋にはならないで下さい。それから、僕がしたい時以外、エッチはおあずけです。大した事じゃ無いでしょう?」
「そっ、そんなあ!!」
 一つ目の条件はいくらでも平気だ。だが、二つ目の条件が悟浄にはとても辛かった。
 八戒は自分と違って、肉体的な性的欲求がほとんど無い。
 八戒の言う「僕のしたい時」と言うのは、はっきり言って一ヶ月間は何もするなと宣告されている事と同じなのだ。
「僕って嫉妬深いんです。それは悟浄が一番知ってるでしょう?」
 それなのに、目の前で自分じゃない声に欲情されたのだ。これは八戒にとって、浮気以外の何でもない。
「たまには清い生活もいいでしょう♪」
「〜〜〜〜〜〜〜っ!」
 悲しきかな。八戒の笑顔の前に、悟浄は「肯」と言う他無かった。


END.




やっと終わりました・・・。最遊記の小説では一番長いっすね・・・。やっぱ阿呆なネタほど早くて楽って言うか。後編なんかエロシーンに突入した瞬間、難産だったもんね。つーか、オチを考えずに書くからこんな事になるのです。あれー?猿のやりたいことをさせてあげよう!って言う企画だった筈なのに。いや、猿的にはオッケー?誕生日祝ってやれてる??皆さんアタシの人格誤解して無い???
いや、大丈夫ならいいのよ。これから私、表に置くほのぼの小説を書かなきゃいけないからv

悟空、新しい年をおめでとう!!




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