ここから先は要注意!!!

この下にある小説は
98でございます!!
遊月さんが「書いてくれ」と言ったから書いただけで
何も趣向替えしたとか浮気しているとかじゃ無いです。

ただ佐喜は、言われれば何のカップリングでも書ける体質なだけですー!!
私は純粋な93ラブメイツ(浮気無し!)ですvvv





しかし万一この小説を読んで「98もなかなか・・・v」と言う方がいましたら、ご一報。
遊月がきっと大ヨロコビさ!












自分記念日

綺麗と言う事。

「なあ、八戒の右目って本当に見えないのか?」
 ゆったりとソファに腰掛けて本を読んでいると、右の耳から唐突にそんな声が聞こえてきた。
 隣の部屋で昼寝をしていた筈の悟空が、いつの間にかソファの後ろから覗き込んでいる。
「ええ、見えませんけど・・・どうかしましたか?」
 声のする方向に少しだけ首を捻る。
 そんな事をしても自分の真横にいる悟空の顔は、少ない左目だけの視界では捕らえられないが。
「・・・こんな綺麗なのに、見えないなんて勿体ないよな・・」
 悟空の中では、まだ悔しさが拭いきれていない。
 あの時、自分がもう少し早く八戒の元にたどり着いていれば。八戒が失明する事は無かったんじゃないかと、無駄だと分かっていても考えてしまうのだ。
「別に大した事じゃありませんよ♪」
 まるで他人事のような台詞。でも、これも本心なのだから仕方がない。
 自虐的だとか、無気力だとか。
 そんな風に思われても仕方がないけど、そうでは無くて、別に後悔する事が無いから。
 あの時の自分の行動も、それによって出た結果も。
「片目でも不自由ではありませんから」
 隣の悟空の顔も見えてないクセに、さらりとそんな事を言う。
「でも・・・・」
 悟空はまだ納得がいかないらしい。
 一応、身体だけは人より丈夫に育ち、五体満足な悟空から見れば、たとえ本人が「大丈夫」とか「大した事無い」と言っていたとしても、どうしても気にしてしまうのだ。
 まして、それを言っているのは、八戒なのである。
 八戒は、何があっても悟空には「大丈夫」と言うのだ。
 出会った当初は八戒の笑顔を、そのまま笑顔としてしか受け止めていなかったが。
 それでもだんだんと、八戒の笑顔の裏にある表情が、最近では分かるようになってきた。
 八戒の「大丈夫」は、意外と信用出来ない事も。
 黙り込んでしまった悟空が気になって、八戒は悟空の頭の上にぽんと手を置いた。
 悟空は、八戒の視界が狭い事にいまいち気が付いてないせいか、こういうポジションで八戒の側にいる事が時々ある。
 喋っているときは別に問題無いのだが、顔の見えていない八戒には、黙り込まれるとやはり不安になってしまう。
 悟空の表情が気になって、つい、ぽふぽふと頭に触れた。
「・・・悟空は、綺麗って言葉の意味、分かりますか?」
「え?・・・わ・・かるけど・・???」
「僕は昔、綺麗って事が、よく分からなかったんです・・・」
 綺麗。
 それだけじゃ無くて、他にも。
 何もかも、生きることに無関心で、よく分からなかった。
 孤児院の庭に咲いている花を綺麗だと誰かが言った時、素直に頷く事が出来なかった。
 花が咲いている。
 花びらには色がついている。
 花は水と光と養分があれば育つ。
 誰かが綺麗と言った「花」には、そんな認識しか無かったから。
 初めて何かを綺麗だと思ったのは、大きくなった彼女に出会ってから。
 綺麗だけじゃなく、他にも。
 彼女から、色々な事を学び取る。
 風になびく長い髪は綺麗。
 ころころと笑う、屈託のない笑顔は綺麗。
 柔らかい、でも意志の強そうな瞳は綺麗。
 それから、自分の手は綺麗。
 彼女に言われて、初めて自分の手が「綺麗」だと認識した。
 自分の事になど、なんの興味も湧かなかったのに。
 彼女が綺麗だと。彼女が好きだと言うのなら。
 この手を大切にしようと思った。
 たとえどんなに血色に染まろうとも、足がもがれて首を切られたとしても。
 彼女の好きな「手」が残れば、それで良いと思った。
「悟空は、僕の目が綺麗だと思ってくれますか?」
「うん!八戒の目ってすんげえ綺麗!初めて見たときからずっと言ってんじゃん!」
 あの時彼は「綺麗」だと言った。
 真剣な眼差しで、自分の認識を変えさせる。
 緊迫した空気の中でぼんやりと、自分の目が「綺麗」だと言う事に、初めて気が付いた。
「綺麗だから、見えなくてもいいんですよ・・・」
 機能など、使えなくてもどうでもいい。
 彼が「綺麗」だと言ってくれたこの瞳が。
 そこに在ればそれでいい。
「・・・・よく分かんねー・・・・」
「あははは。潰れて無くて良かったって事です。さすがに格好悪いですからねえ♪」
 貴方が「綺麗」と言ってくれたから。
 初めて大切だと、そう思えた。



呼ばれると言う事。

「・・っかい、はっかい・・・・八戒ってば!!」
「え?・・ああ、済みません。まだ聞き慣れないもので・・・」
 猪八戒。最近とある事情で貰った新しい名前。
 自分の名前を呼ぶ人も少ないせいか、この名前になってから暫く経っているのに、まだ耳に馴染んでいないようだ。
 『悟能』
 自分の耳には、そう呼ぶ彼女の声がまだ新しい。
 朝から家に遊びに来ていた悟空が、なかなか返事をしなかった自分に向かって、ふくれっ面を見せていた。
「それじゃダメじゃん!」
「え?何がですか?」
「自分の名前はちゃんと言えるようにしねえとダメなんだぞ」
「いえ・・・別に自分の名前は言えますが・・・」
 ちなみに漢字でも書けますよ、と近くにあった紙にすらすらと書いて見せた。
 どうやら悟空には「戒」の字が読めなかったらしく、紙に向かってますます顔を膨らませる。
「でも、聞き慣れないんだろ?」
「ええまあ・・。呼んでくれる人もいませんから」
 同居人の悟浄は、確かに自分を名前で呼ぶが。
 如何せん、夜型の彼(職業ギャンブラー)とは生活リズムが違いすぎて、同じ家の中にいても顔を合わせる事はあまりない。
 せいぜい夕飯の時(悟浄には朝食だ)に一緒に食事を取る程度である。
「じゃあさっ。聞き慣れるまで俺が呼んでやるよ♪」
「は?」
「はっかいはっいかはっかいはっかいはっかい・・・・・・・・」
 目の前で、呪文のように繰り返す名前。
 時々息継ぎで止まったりするが、本当に名前を呼び続けている。
 そのまま八戒が本を読み出しても、かまわず悟空は呼び続けた。
 名前を呼んでも振り向いてくれないのは淋しすぎる。
 いくら自分が八戒の名前を覚えても、当の八戒自身が名前を覚えていなければなんの意味も無い。
「・・・・・悟空、もういいですよ」
「はっか・・ぜーぜー、も・・もう馴れた?」
「いえ。うるさかったものですから♪」
 そう言って読みかけの本に再び目を落とす。
 すっかり息が上がっている悟空は、一瞬あっけに取られてしまう。
 だが次の瞬間、大きく息を吸い込んだ。
「ひでーよ八戒ーー!!!!」
「あはは!冗談ですよ、冗談ー♪」
 短時間で、何十回、何百回と繰り返された言葉。
 きっともう。
『はっかい』と聞こえたら、自分じゃ無くても振り向いてしまいそう。



END.


あわわわわ。おわわわわわ。ど・・・どうでした?(びくびく)
八戒さん、乙女モード全快でスマンです。
結構ノリノリで書き出した割には難産で、へんてこな文章なのはそのせいっス〜!!!
しかし・・・93より甘い・・・・・・。(でも爽やかだよね?)
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